水. 2月 4th, 2026

――1300円で、この静けさは少し得をした気分になる

週末になると、理由もなく温泉に向かう。
疲れているわけではない。
ただ、いつもの生活から少し距離を取りたくなる。

この日、向かったのは山梨・石和温泉。
名前はよく知っているが、団体客や賑わいの印象が先に立ち、これまで積極的に足が向く場所ではなかった。

それでも、たまには確かめてみたくなる。
そんな気分で選んだのが、ホテルやまなみの日帰り温泉だった。


1320円という価格と、拍子抜けするほどの静けさ

日帰り入浴は1320円。
今どきの感覚で言えば、安すぎず、高すぎず。
正直、混んでいたら早めに切り上げるつもりでいた。

ところが、拍子抜けするほど空いていた。

脱衣所も浴場も、どこか余裕がある。
団体客のざわつきもなく、自分の他に人がいない。
入浴中も数名だけで、皆それぞれ自分の時間を過ごしている。

この時点で、今日は当たりだと思った。


湯は主張しすぎず、長く付き合えるタイプ

湯はやわらかく、温度も穏やか。pH9.1のアルカリ性単純温泉。
入った瞬間にヌルヌル感がある。
すぐに「美肌の湯」と気づくレベルの湯だ。

石和温泉の湯は、一般にアルカリ性単純温泉とされ、肌触りがやわらかいのが特徴だ。
刺激が少なく、長く浸かっても疲れにくい。
神経痛や筋肉痛、関節痛、冷え性、疲労回復などに向いていると言われており、
この日、長湯しても嫌な重さが残らなかったのは、たぶんそのせいだろう。

肩や背中の余計な力が、静かに抜けていく。
考え事をしようとしても、うまくまとまらない。
そのうち、考えること自体をやめている。

こういう湯は、長く入れる。
そして、長く入ったあとに、じわじわ効いてくる。

誰もいないサウナで、武田節を歌う

サウナも覗いてみた。
こちらも、誰もいない。

温度も湿度も程よく、
「これは少し居座れるな」と思わせる空間だった。

誰もいないのをいいことに、
気がつけば小さく武田節を口ずさんでいた。
もちろん、独唱である。

♪ 人は石垣 人は城 ——

別に意味はない。昼に見た昇仙峡の光景や
ちよだのほうとう、甲府の駅前の信玄公を思い出しただけ。


ただ、誰にも気を使わず、
どうでもいいことをしていられる時間が、妙に心地よかった。

このサウナは、そういう余白を許してくれる。

石和温泉で、こういう時間が持てるとは

石和温泉と聞くと、どうしても賑やかなイメージが先に立つ。
だからこそ、こういう静かな日帰り温泉は貴重だと思う。

派手さはない。
だが、落ち着いて湯に浸かり、
一人でサウナに入り、
どうでもいい歌を口ずさめる。

それだけで、十分に満足できる日もある。

湯から上がり、服を着て外に出たとき、
「今日はいい時間だったな」と、素直に思えた。

1320円で、少し得をした気分。
また理由もなく温泉に行きたくなったら、
この日のことを思い出す気がする。

■ 日帰り入浴メモ

  • 場所:石和温泉 ホテルやまなみ
  • 料金:1320円(日帰り)
  • サウナ:空いている。かなり静か
  • 所感:長湯・一人時間向き
  • 向いている人:誰にも気を使わず過ごしたい人

    石和温泉「ホテルやまなみ」は石和温泉駅から徒歩3分ほどの立地で、日帰り入浴だけでなく、露天風呂・ワイン風呂・貸切風呂など多彩なお風呂が楽しめる宿でもあります。湯はアルカリ性単純泉で、肌触りが柔らかく長湯にも向いています。

投稿者 k.hayama

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