この記事ではとき川の温泉を
日帰り温泉としての使いやすさの視点で紹介します。

泉質、混雑、施設、アクセスなど
実際の体験をもとにまとめています

――偶然が連れてきた、静かな異世界

予定のない土曜日の午後

休日の土曜日。
いつもなら朝八時に起きて、床屋だの病院だのと予定を詰め込み、
気がつけば一日が終わっている。

だが、その日に限っては、珍しく何の予定も入っていなかった。
昼下がりまで、ベッドでうつらうつらと過ごし、
豆から挽いたコーヒーをすすりながら、
「東京からすぐ行ける日帰り温泉でも探すか」と
タブレットを手に取った。

何気なく検索していて、
偶然目に入ったのが「とき川」だった。

一日四組限定。
念のため電話をしてみたが、何度呼び出しても出ない。
諦めて受話器を置き、他の温泉施設にも何件か電話をしたが、
どこも今日は満員だという。

家内の要望は明確だった。
「混み合った温泉には行きたくない」。
個室か家族風呂があること。
それが今日のルールだった。

しばらくすると、家の電話が鳴った。
出てみると、「とき川」からの折り返しだった。

夜の部にキャンセルが出たので、
本日は一組だけ受け入れられるという。
本格的な食事の準備は間に合わないが、
簡単な夕餉なら用意できる、と。

こちらに迷いはなかった。


想像以上の山の中

練馬から関越道に乗り、
坂戸インターチェンジで降りる。
とき川沿いののどかな道を進むにつれ、
周囲は次第に山の色を濃くしていく。

想像以上に、山の中だった。

小さな看板を見落とし、一度通り過ぎてしまったほど、
入口は控えめだ。
「本当にここか?」と思うような細い山道を
車で少し下っていくと、
駐車場三台分ほどのスペースに着く。

ここで、
午前二組、午後二組。
一日四組しか受け入れない理由が、
すでに腑に落ちる。


人の手が残るもてなし

玄関では、
和服姿の若い女将さんが正座で迎えてくれた。
ポストコロナの2025年だが、
きちんとマスクを着け、所作に乱れがない。

通されたのは「あじさい」の部屋。
抹茶と柚子の和菓子が供され、
盆の上には和紙で折られた折り紙が添えられている。

どうやら客室は二部屋のみ。
それぞれに専用の温泉が付いている。
だからこそ、
一日四組という制限なのだ。

一組にかける手間が、
空間のあちこちに表れている。
Googleの口コミ評価が4.4なのも、
納得できる。

折り紙や、和紙、浴衣を選べるなど、所々に決めの細かいおもてなしがある。


PH11.3という日本一の湯

「あじさい」専用の浴室に案内される。
泉質は PH11.3
日本でも屈指の強アルカリ性だという。

湯に手を入れた瞬間、
独特の感触がある。
例えるなら、
ハイターの液に触れたときの、あの感覚に近い。

好みは分かれるだろう。
だが、しばらく浸かっていると、
肌が少しずつ滑らかになっていくのが分かる。
美肌の湯と呼ばれる理由には、
素直に頷けた。

ぬるすぎず、熱すぎず。
専用風呂だからこそ、
時間を気にせず、何度でも入れる。


急ごしらえの夕餉

もともとは夜の部に入る予定ではなかった。
たまたま空室が出たことで、
急遽用意してもらった食事だ。

その分、
料金も調整してくれた。

内容は簡素だが、
きちんと温かい。
「急いで出しました」という感じがしない。

こういうところに、
この宿の姿勢が表れる。


なぜ、ここは異世界に感じるのか

とき川が異世界に感じられる理由は、
山深さでも、泉質の強さでもない。

  • 一日四組という制限
  • 専用風呂という距離感
  • 人の手が省かれていないもてなし

これらが重なることで、
人は自然と、
日常の速度から外れる。

偶然が重なって辿り着いた場所だが、
帰るころには、
「来るべくして来た」
そんな気がしていた。


探していない日に、見つかる場所

計画して行く温泉もいい。
だが、ときどき、
探していない日にこそ、
こういう場所は見つかる。

ときがわ温泉郷「とき川」は、
そんな一日を、静かに受け止めてくれる宿だった。


■ 日帰り・宿泊メモ

■ 日帰り・宿泊メモ
・施設名:ときがわ温泉郷 とき川
・所在地:埼玉県比企郡ときがわ町
・利用形態:宿泊/日帰り(要確認・完全予約制)
・泉質:強アルカリ性単純温泉(PH11.3)
・利用制限:1日4組限定(午前2組・午後2組)
・浴室:客室専用風呂
・雰囲気:人の手が残る、静かな異世界
・向いている人1:混雑を避けたい人
・向いている人2:強アルカリ泉を体験したい人
・向いている人3:予定のない日に流れを変えたい人(これは運が必要)
この温泉は、「調整に使える温泉」という観点で整理しています。
▶ 調整に使える温泉|完全ガイド

投稿者 k.hayama

温泉巡りと不動産の仕事を通じて感じたことを記録するブログ。伊豆・関東近郊の温泉、調整に使える場所、判断の話を静かに書いています。

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