栃木県那須塩原市塩原745
TEL : 0287-32-2734

『上会津屋』という名前なのたが、場所は塩原温泉郷にある。ややこしい事に近所には『会津屋』さんというのもあって、実を言うと最初に間違えて会津屋さんの方にお邪魔してしまった。上会津屋さんに着いて、そんな話をすると、塩原街道は西に行くと国道121号線となって会津若松市を抜けて米沢市まで道が続いていて、そのために塩原温泉郷なのに会津の名前が入っているのだとのこと。
塩原温泉郷は11の地区に別れてそれぞれ泉質が違う。大網温泉(おおあみ)福渡温泉(ふくわた)塩釜温泉、塩の湯温泉、畑下温泉(はたおり)、門前温泉、古町温泉、中塩原温泉、上塩原温泉、新湯温泉(あらゆ)、元湯温泉とあり、上会津屋は古町温泉にあって、泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉となっている。無味無臭、透明。
宿の入り口にある源泉は紙コップが置いてあり、よくよく見てみると飲んで良いのだと書いてある。さっそくなので飲泉をしてみた。私には味はわからず、無味無臭、色も透明。正直、飲んだだけでは身体に何かが起きているともわかりません。でも家内は翌朝、軽く当たったようだという。軽くで良かった。旅先で家内に具合が悪くなられると自分だけ美味しい物を食べるわけにもいかずに困る。なので、お腹かメンタルのどちらかが弱い御仁は、ご自身の調子を見ながら、飲泉されるのが良いかと。とはいえ私は全く平気。とりわけ身体への影響のありそうな成分はメタケイ酸のようだが、調べてみるとケイ素と水素、酸素の化合物みたい。ケイ素といえばすなわち流行りのシリカ水ですね。胃の粘膜を保護する保湿効果があると考えるのが一般的でしょう。ともあれ、江戸末期創業で、明治28年には国木田独歩も宿泊したこの旅館。歴史上の偉人が皆、口コミを頼りに、この場所をはるばる訪れて、貴重な源泉を口にしたかと思うと、現代人の誰でもが、インターネット広告でシリカ水に興味をもてば、そのままネットで注文して、簡単に取り寄せられる時代とのギャップを感じる。この場所はそんな、昔からの流れる時が止まったような趣きのある場所。

上会津屋は、目の前には清流「箒川」が流れており、清流のせせらぎと野山の雄大な風景が楽しめる。1200年の歴史のある塩原温泉郷のほぼ中心に位置する温泉宿である。ここの源泉かけ流しは、入る時間や気候で温度がかなり変わる。私の場合、夜中近くはかなり熱く、朝方はけっこう温めだった。



プランによっては、清流と渓谷を臨むテラスのある専用サウナと専用風呂のある部屋もあるようだ。2026年の紅葉の時期に訪れたが、カメムシが大量発生したようで、室内でもガムテープが置いてあり、そーっと、二匹ほど捕獲して外に逃がした。
塩原温泉郷には6種7色3性質と多彩な温泉があり、日帰り温泉もあるので、宿泊の宿を中心に他の温泉へ日帰り温泉を楽しに出掛けるのもありだ。その場合、基本的には薄→濃の順に組み立てるべきとのことで、具体的にほ上会津屋(炭酸水素塩泉)→田中屋(硫酸塩泉)という感じがおすすめだろうか。
宿の隣の塩原温泉観光協会の土産物屋の駐車場が混み合っており、2階のカフェレストラン、ランプ(洋燈)からは箒川と対岸の山を眺める眺望が楽しめる。秋の紅葉を見に行ったのだが、大変満足だった。ススキと清流とモミジのコンボが楽しめる。



周辺の観光スポットとしては、源有綱終焉の地となった源三窟が徒歩圏にある。有綱が義経のいる上杉平泉を頼りに北上したルートが国道121号線と重なる。会津を抜け山形へ向かう山道。当時の旅はさほど楽ではなかったことが想像できる。ともあれ、有綱らは立ち寄ったこの地で洞窟に匿ってもらったが、食事の支度で米を研ぎ、そのため川が濁り、頼朝の軍に発見されてしまったとのことだ。
源三窟と上会津屋の丁度中間あたりには、行列のできる食堂があり、『こばや食堂』と書かれている。那須の道の駅などに必ず置いてある、こばや食堂のスープ入り焼きそば。なんとここが本店らしい。ツーリングのライダー達の目的地にもなっているようだ。




