水. 2月 11th, 2026

――立地は資産、だが出口は構造で決まる

伊豆は「近い観光地」であり、「閉じた半島」でもある

伊豆半島は、東京から近い。
週末にふらっと出かけられる距離感があり、
温泉、海、山、別荘地と、魅力は多い。

不動産の現場でも、
「伊豆は意外と近いですよ」
という説明は、よく使われる。

だが、この「近さ」は、
平常時に限った話だ。

伊豆半島は、地図で見ると分かりやすい。
三方を海に囲まれ、
東京方面への出口は、実質的に限られている。


交通は「線」で成立している

伊豆半島の陸上交通は、
線で成り立っている

  • 国道135号線(海岸線)
  • 国道136号線(内陸)
  • 伊豆縦貫道(途中まで)
  • 東海道線・伊東線という鉄道

これらは、網ではない。
代替ルートを持たない線だ。

ひとつが止まれば、
すべてがそこに集中する。

2月8日の雪の日、
高速道路が止まり、
伊豆縦貫道も機能しなくなった瞬間、
東京方面へ向かう車は、
すべて国道135号線に流れ込んだ。

これは事故ではない。
構造の帰結だ。


亀石峠は「関門」である

伊豆の交通を語るうえで、


亀石峠は無視できない。

峠というのは、
普段はただの通過点だが、
条件が悪化した瞬間、関門になる。

2月8日、
亀石峠付近はホワイトアウトに近い状態だった。

ここで印象的だったのは、
雪に埋もれた時の前の車の男性の判断だ。

その男性は、
峠にスタックした車を置き、
2km先の宇佐美駅まで歩き、
電車でダイヤランドの自宅に帰った。

これは、
伊豆を「住処」として理解している人間の判断だ。

車に固執しない。
動かないものは捨てる。
使える交通手段に切り替える。

不動産の立地とは、
こういう行動が取れるかどうかで、
価値が大きく変わる。


「車前提」の別荘地が抱える弱点

伊豆の別荘地の多くは、
車でのアクセスを前提に設計されている。

  • 駅から遠い
  • バス本数が少ない
  • 徒歩移動は現実的でない

平常時は問題にならない。
だが、非常時には一気に弱点が露呈する。

車が動かなければ、
生活が止まる

今回のように、
ノーマルタイヤの車、
FR車、FF車、
さまざまな車両が登坂で立ち往生すると、
後続すべてが止まる。

これは、
個々の判断ミスではない。
前提条件が単一であることのリスクだ。


不動産価値は「入口」より「出口」で決まる

物件を見るとき、
人はどうしても「入口」を見る。

  • どれくらいで着くか
  • 景色はどうか
  • 週末に使いやすいか

だが、本当に重要なのは
出口だ。

  • 帰れなくなったとき、どうなるか
  • 車を置いて離脱できるか
  • 鉄道に切り替えられるか

2月8日、
峠で車を置き、
宇佐美駅から電車で帰った男性の行動は、
この問いへの、実に合理的な答えだった。


伊豆の不動産を見るときの、現実的な視点

伊豆半島の不動産は、
魅力がある。

だが、見るべきポイントは明確だ。

  • 駅まで歩けるか
  • 車を置いても離脱できるか
  • 主要幹線に依存しすぎていないか
  • 悪天候時の代替行動が描けるか

これらが描けない物件は、
「非日常に強そうで、
実は非日常に弱い」。


結び:伊豆は、住む場所でも、逃げる場所でもある

伊豆半島は、
素晴らしい場所だ。

だが、半島である以上、
閉じる日が必ずある

そのとき、
どう動けるか。
どう帰れるか。

不動産の価値とは、
美しさや価格だけではない。

人が判断を続けられる構造かどうか
そこまで見て、
初めて「いい立地」だと言える。

2km歩いて駅に出る判断ができるか。
それができる場所か。

伊豆の不動産を見るとき、
私はもう、
そこからしか見ない気がしている。

※この記事から伊豆、大雪、判断の記録から派生した記事です。

投稿者 k.hayama

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